ーー 誕生日 当日 ーー

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仔犬はクッキーを全部食べた後、まだ物欲しそうに藤堂くんの手を舐めている。 「ごめん。もう無いや」 「あ、わたしカバンの中に何かあるかも?」 カバンの中を探してみると 「あ、ウマイ棒があった」 わたしはカバンからウマイ棒を取り出した。 「犬にウマイ棒? しかも、コンソメ味……?」 藤堂くんは怪訝な顔をする。 「クッキーと同じようなものじゃない。両方お菓子だし」 わたしはウマイ棒を小さく砕いて仔犬の前に置いてやる。 仔犬は鼻をクンクンさせている。 「コンソメ味なんて、犬が食べるわけないだろう?」 しかし、彼の言葉とは裏腹に仔犬は食べ始めた。
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