ーー 誕生日 当日 ーー

20/22
前へ
/115ページ
次へ
軽率な自分の言葉になんだか居づらくなった。 「…じゃぁ、わたし、帰る……」 藤堂くんは通りを指差す。「そっちまっすぐ行くと商店街に出るから」 「ありがと」 藤堂くんと別れて家へと向かった。 ーー 『 わたしメガネ掛けてる人ってあまり好きじゃないんで……』 あんな言い方したこと、さっき謝ればよかった。 彼の意外な一面を見て、わたしはなんだか後悔した。 「ただいま!」 玄関で靴を脱いで家に上がる。 「あれ? 誰もいない?」 2階に上がると瑞季の部屋のドアが少し開いているのに気がついた。「瑞季。居るの?」 そっと部屋の中を覗いてみたが瑞季はまだ帰っていない。なんだ。誰も居ないのか……。 部屋に戻って自分の姿を鏡に映してみた。夕陽に輝いてネックレスがキラキラしている。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加