Alexander's Sister - デリケート -

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クスクス笑いあってなだれ込んだソファーは硬い。 組み敷かれた身体は落ちないようにとそっと支えられた。 じゃれ合うだけの筈が、捕食者の視線を向ける宮瀬の目に予定外に戸惑った。 「透さん、ここでは・・っん」 「ベッドまで我慢がきかない」 「明るいの、嫌」 「俺は気にしない」 ブラウスのボタンが片手で器用に外される。 上から順に外されそれが中段に差し掛かった時に宮瀬で遮られていた明りを思い出した。 蛍光灯より多少オレンジっぽい色味の照明は暗過ぎはしないが、事に及ぶには明る過ぎる。 「わ、私が気にするんです!」 「そしたら、脱がなきゃいい」 「・・え」 その言葉と共にボタンの2つが外され、全てのボタンが開いた。 ハラリと脇腹を通って垂れた布切れに腹部に僅かな冷えを感じる。 そして、不公平だからと言う様に宮瀬は自分のワイシャツのボタンを全て外した。 「全部脱がなければ恥ずかしくないだろ?」 「そ、そうゆう意味じゃ」 「タイムオーバーだ」 「んぅっ・・!」 時間切れと称された抵抗はその唇で塞がれて、効力を失った。 露わになった下着はまだ胸を隠してはいるが、するりと肩を撫でた宮瀬の手で肩紐の片方が頼りなく落ちた。 「ま、っ・・て」 「大丈夫、何もおかしなことはない」 「私お風呂ま、だ・・あっ」 「俺も同じ」 首元に噛み付いた宮瀬はその唇で啄むように動く。 神経に触れる様な痺れに耐えられず身を捩っても、狭いソファーの上では逃げ道が足りなかった。 そして、鎖骨に軽く歯を立てられると痙攣するかのように腰が浮いた。 「やぁ・・っ。んん、」 「そうやって震えられるとイケナイ事してる気分になるな」 「だったらっ!」 「馬鹿、興奮するって意味だよ」 そう言って背中のホックが外される。 急に開放的になった胸元に驚いて視線を下に向けると、自分の胸に乗っかっているだけの下着に顔を逸らした。 その布の下を撫でる様に宮瀬の手が滑り込むと、感覚だけ敏感に受けとる身体がほんのり赤く染まる。 「・・ふぁっ、透さ・・っ」 「恥ずかしいなら、しがみ付いてればいいよ」 優しい声が響いて、私の腕をその首に誘導する。 拠り所を求めて何も考えずしがみ付く、そんな私を無視して聞こえた次の言葉は、思ってたよりも酷だった。
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