一章

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「麻帆、こんな日にこんなところでなにしてんだ?寒いから買えるぞ」 こっちを見ようともせずに返事をする 「ねえ悠馬...このチョコあげるよ」 それは明かに手作りのチョコだった そして俺に向けて放たれるその言葉は、いつものように俺を元気付けてくれるものでは無く、か弱く震えていた 麻帆の横に腰を下ろす 「なあ、幼馴染みの俺に話してみ?」 優しく諭すように声をかける 「私...フラれちゃった」 その言葉だけ言うと、いままで我慢していたなにかが切れてしまったかのように、泣き崩れてしまう 「よしよし。それで麻帆はフラれたからって簡単に諦められるのか?」 麻帆の頭を撫でながら優しく聞く 「...」 頭を横にふるふると振る 「そっか。じゃあ今は好きなだけ泣け そして、今日のフラれた時の縁起の悪いチョコは俺が今から食ってやる」 泣く麻帆の横で食べチョコは凄く苦かった
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