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大昔に教師を聖職者とも呼んでいたらしいが、次第に教育者は尊敬されるようになった。
そして、地球で暮らす誰もが火星旅行に憧れた。
貨幣価値がリセットされ、当時の富豪の多くが、財を失った。
経済界を牛耳っていただけに、それを行うのは簡単ではなかった。
ただ時代の流れに敏感な彼らだけに、火星の移住権には心が揺らいだ。
地球が火星の植民地である事は分かっていた。
決して地球には明かされないが、火星には想像もつかない暮らしが用意されていた。
本郷はじめ、世界各国の優れた人材により構築された社会は、地球で不可能となった社会構造が出来上がっていた。
地球で富を手放した者は、火星に旅立った。
多くの地球人が火星旅行に憧れるのは、見たこともない世界への憧れだった。
それでも地球はまた生まれ変わろうとしていた。
地底に続く深い縦穴には、過去に人類が解決出来ずに放置した化合物が眠っていた。
進化した社会であっても、ルールを守れない輩が存在した。
島流しならぬ、地底送り。
そんな事実も、拭えず社会に残っている。
社会が新しく生まれ変わり、人々もまた向上心を持っていた。
何かを模倣しても非難しかされないから、多くの人は自然を大切にして生きていた。
それをおとぎ話として、読み聞かせられたミライの子供たちは、火星や地球にいつかは行きたいと夢見て眠りついた。
昔は、その乗り物を見つけるとUFOと呼んでいたらしい。
昔の人には、乗り物が速すぎて見えなかったと言うのだ。
今となっては笑い話だが、当時はそれがまかり通っていた。
本郷や多田、佐山が生きた時代に想いを馳せるのも悪くない。
今が今で有るのは、彼らのような若者が立ち上がって礎を築いたからだから。
【ご注意ください】
ここに出てくる地名、人名、その他名称はすべて架空のものであり、すべてフィクションです。
ご理解、賜りますようお願い致します。
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