抱き枕の恋ごころ

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「倉庫だけど店の上だからそんなに寒くないし、シャワーも一応あるから」 「…………わかった」  話がつけば意外なほど素直に浩明はついてきた。店の片付けをする間、階上の部屋へ行き、アラジンストーブに火を入れる。戻ってからまた掃除を始めた。待ってもらう間に浩明には飲み物を作り、テーブル席に座るよう促す。 「なんか甲斐甲斐しいな……」 「ほんと俺、どうかしてたから……それくらいさせてくれ」  コンクリート打ちっぱなしの倉庫の奥にあるドアを開けると、ちょっとした小部屋がある。  先程点火したアラジンストーブの青い炎が、いつもは味気ないコンクリートの壁を幻想的に揺らしていた。灯りを点けた翔太郎は、浩明にシャワーの場所を案内した。 「なんか雰囲気があっていいな。隠れ家みたいなところだ」 「だろ? 結構気に入っちゃって、いまだに住まわせてもらってるんだ」  浩明はしばらくきょろきょろと辺りを見回していたが、やがてシャワーを浴びに行った。  その間翔太郎はベッドへ行き、シーツを替えた。布団は久しく干したりしていないが、シーツを交換すれば少しはましになるだろう。 「お先……」  シャワーを終えた浩明がタオル片手に出てきた。翔太郎の貸したスエットは少しダブついているようだが、引きずる程ではない。 「寒くなかったか?」 「大丈夫……ん? なんかいい匂い」 「チーズリゾット、食うか?」 「うん……翔太郎って料理できるんだ」 「ほとんどここに来てから覚えたモンばっかだけどな。酒は? 飲み足りなかったらまだあるぞ」 「ありがと。すごい種類の酒だね」 「ああ、自分ではそんなに飲まないんだけどな。あれは練習用でつい増えちゃって」
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