抱き枕の恋ごころ

「浩明……さわんな」
「気持ち悪い？」

　残念ながら全く気持ち悪くはない。それどころか、包み込まれる手がすこぶる気持ち良かった。浩明にもそれは伝わるのか、小さく笑われる。

「よさそうにしてるじゃん……」
「それはっ……」

　ただ、溜まっていただけだからと、心の底から言えるのだろうか。そんな翔太郎の葛藤を見透かすように薄く笑った浩明は、そこに舌を這わした。

「んっ！」
「武勇伝に後日談がつくだけ」
「あ、ちょ……ひろ」
「昔告白された男から、その十年後に口で抜いてもらったってね……」
「今それ言うのかよ……うっ……」

　だからもう余計なことは考えないでと囁かれて、翔太郎は体の力を抜いた。

　ぴちゃぴちゃと卑猥な音を立てて浩明が根元から舐め上げる。なんとなく股間を守るように置いていた翔太郎の手は、浩明に掴んで口づけられ、やんわりと外される。

「浩明……くっ……」

　舌を絡めながら咥えられると、思わず声が漏れた。吸い上げるようにして鈴口に舌先を差し込まれる。熱い息がかかる度にぞわりとして、堪らない気持ちになる。

　そっと盗み見た浩明の頬はいつのまにか紅潮して、荒い息を隠そうともせず口淫に夢中になっていた。自分のものをそんな風に熱っぽく愛撫されていることにだんだんと翔太郎も興奮してくる。