抱き枕の恋ごころ

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「ったく、好きな子にイジワルとか……小学生かっつーの」 「は…………?」 「翔太郎、気付いてないの? あいつお前のことが好きだったんだろう」 「だってあいつとは会社にいるときから仲が悪くて……」 「さっきも言ったけど、俺たちみたいな人種には、自分の気持ちを受け入れられなくて、思ってることとうらはらのことばかりしちゃう人っていうのは結構いるんだよ」 「そう……なのか」  そうはいっても福石が自分のことを好きだなんていうのは、思い込みだと思うが、浩明の言わんとすることはなんとなく理解できた。 「俺、このまま帰るわ。勘定はつけといて。それから、ママにも雰囲気悪くしてごめんって謝っといて」 「わかった……」 「じゃあな」 「浩明!」 「ん?」 「ママには伝えとくけど、お前は悪くないよ。それと……庇ってくれてうれしかった。ありがとう」  自分でも驚くくらい、素直に感謝の気持ちを伝えられた。浩明はふいっと目を逸らしたが、頬が少し赤い。今頃になって自分のしたことに動揺でもしているのだろうか。 「なるべく早く帰るから」 「…………うん」  仕事を終え部屋に戻ると、風呂を借りて着替える。なんだかとても疲れる一日だった。浩明はすでにベッドに入っており、腹ばいになって雑誌を読みながらくつろいでいる。掛布団をあげてくれたので、横に並ぶようにして寝ころんだ。浩明が背中を押し付けてきたので、抱え込むように密着する。 「お疲れ」 「悪かったな、今日は。みっともないところを見せて」 「前の会社の人?」 「そう。俺……元カノに裏切られて、会社に居づらくなって辞めたんだ」 「裏切るって……ひどいな」 「でも、そもそもの原因は、自分なんだ。全部自分が引き寄せたことで」
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