抱き枕の恋ごころ

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「あまりに間違いが多発すると、店の信用にかかわってしまうものね」  ハッテン場や出会い系サイトには勇気がなくて踏み込めないという人がとても多いところにママは目をつけた。  社会的地位が高かったり、真面目すぎて積極的に相手を探せない人たちが相手を探せる場所を提供する。彼らは恵まれた容姿を持ち、なおかつ人柄や人物像はママのお墨付きなので、安心して相手を探せるというわけだ。  尚且つ相手も自分もそこそこに社会的地位が高ければ、ゲイであることを理由に、脅したり脅されたりという心配もずいぶん減るだろう。  積極的に宣伝をしているわけではないのにこの店が繁盛しているのは、ママの人柄も大きいが、やはり出会いの場を真剣に探しているゲイが多いのだと思う。  来店して、カウンターに気になるゲストがいたら、アプローチは自由にしていい。相手方のゲストが了承し、交渉が成立したらお客様は飲食代の他に五万円を支払う。そのうち三万円は店の売り上げになり、二万円はゲストに支払われる。  そのあとは他の店で飲みなおすのも、ホテルへ直行するのも、生涯の伴侶にするのも自由だ。  ゲストも基本的にはお客様なので、知り合った者同士が次回以降会う時に、必ずしも店を通す必要はない。オリーブはあくまでも出会いの場を提供しているだけで、そのための維持費があればいいという考えらしい。
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