抱き枕の恋ごころ

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 人気がある=店への貢献度が高いということは、店での出会いが多い、つまり常に新しい相手を求めるタイプなのかもしれない。ゲストの中には特定の相手を作ることを好まず、後腐れのない関係のみを求めるものも多かったから、翔太郎はとくに驚きはしなかった。  そんな話をしていると店の中がなんとなくざわっとした雰囲気になった。 「いらっしゃ……あらっ! あらっ!」  ママの素っ頓狂な声に驚いて入口に目を向けると、そこにはひとりの男が立っていた。さらっとしたやわらかそうな髪。おまけにすごく美形だ。  だからといって弱々しい雰囲気ではなく、瞳の色が強いので、真顔でいたら顔の良さも相まってむしろキツい印象を与えるかもしれない。だが今はママの方を向いてふんわりと微笑んでいる。  店にいるお客様がすべて、彼に釘付けになっていると言っても過言ではなかった。 「ママ……お久しぶり……」 「いらっしゃい。まあまあ、日本に帰って来てたの?」 「うん、おととい……こっちに転勤になったから。またお邪魔していい?」 「そうなの! うれしいわ、また会えて。そうそう、ちょうどあなたの話をしていたところなのよ。ね、翔ちゃん。こちらがあの浩くんよ」 「……」 「ちょっと翔ちゃん、なにぼんやり突っ立ってるのよ。浩くんを案内してあげて」 「お前……浩明か?」  やっとのことで絞り出した声に、男が振り向いた。しばらく目を凝らして翔太郎をまじまじ眺めていたが、やがて口を開いた。 「翔太郎?」
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