かはたれ

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「かはたれ」 逃げるようにもぐりこんだ 土の中はモノクローム まぶたが隔てた境界線は ぶすぶすと 闇にとけた 居場所のないまま這いずれば 芽吹く妄想シンドローム 根を張りのばす疑心暗鬼は ぎりぎり 胸を締めころす 機能不全の網膜に 射した一条のスペクトラム ひび割れ乾いた魂に ひとつ ふたつと乗る雫 夜明け前の冷たい風の下 時を待つ若葉は静かにふくらむ 突き抜けた根は地をつかみ みっつ よっつと増す朝露 ありがとう 心をこめて 名もなき雫よ 母なる大地よ 白む空に まぶたは再び境界をきざむ きらきらと 輝きはじめる .image=498347505.jpg
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