来年は、いらない

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「こんこん、こんばんは。そのチョコレイト、もらいに来ましたよ」 「……『こんこん』って何よ。そのお面と掛けてるの? あと、いい歳して手遊びもどうかと思うわ。……もしかしてチョコレートのためだけににかえってきたの?」 「だってそれ、僕のでしょう?」 「……」 「でも、来年はいりません」 「……なんで」 「いつまでも僕を忘れられないとか言われると正直困りますし。僕と君は自然消滅したようなものですから」 「……そうね。あんたが勝手にいなくなったから」 「天命だから仕方ないですよ」 「お盆でもないのにかえってきたやつがよく言うわ」 「そこはまぁ、気合いと根性で」 「そんなにチョコが欲しかったの?」 「そうですね。君から受け取ることができなかったのは、惜しかったなと思っていたので」 「……じゃあ、はい。あげるわ」 「ええ、ありがとうございます。……とても、嬉しいですよ」
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