恋する透明人間

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神崎さんが、僕の気持ちの変化に気が付いて、心配してくれていることがわかった。 僕は神崎さんに、過去にあった僕が透明になって消えてしまう不思議な現象のことを話してみることにした。 中学2年の時に、この現象のことを初めて知って、今までに何回か体験したことを、神崎さんに全て話した。 すると、神崎さんは、 「私の前では、消えないね!  ちょっとショックかな?」 と、意味ありげの発言をした。 その言葉を聞いて、僕は思い切って神崎さんに告白してみることにした。 「神崎さん、大切な話があります。」 僕が、話を始めようとすると、神崎さんが、 「若林君、消えてる!」 と話してくれた。 「神崎さんは、驚かないのですか?」 僕が質問すると、神崎さんが、 「私は、若林君のこと信じてる!」 と答えてくれた。 僕は、話を続けた。 「神崎さんと2人でいる時間は、僕にとってとても幸せな時間なんです。  こんな僕でよかったら、お付き合いしていただけませんか?」 すると、神崎さんが、 「私は、若林君のことが好き!  だから、嬉しい。  こんな私でもよかったら、よろしくお願いします!」 と返事をしてくれた。 僕は、嬉しくて嬉しくて、たまらない気持だった。 すると、神崎さんが、 「若林君のこんなに嬉しそうな顔を見たのは、はじめてかも?」 と言った。 不思議に思った僕は、自分の手を見たが、消えたままだった。 僕は、神崎さんに、 「僕の顔、見えるのですか?」 と質問すると、神崎さんが、 「よく見えてるよ!」 と答えてくれた。 すると、僕の手は徐々にうっすらと見え始め、最後には元の自分に戻っていた。 この日の僕は、不思議な現象から解放されたような気持ちになった。
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