恋する透明人間

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僕と神崎さんのお付き合いが始まった。 僕は神崎さんのことを「彩」と呼び、神崎さんは僕のことを「ひろくん」と呼ぶようになった。 僕の体が消える現象は、時々起っていた。 主に、僕が彩に自分の思いを告げるときに起った。 彩と1年ほどお付き合いして僕が結婚したいと思いプロポーズをしたときも、僕の体は消えてしまったようだ。 でも、プロポーズの時の僕は緊張しすぎていて、体が消えたことには自分自身まったく気が付かなかった。 こういうとき彩は、僕に寄り添ってほしいと言ってくるようになった。 見えなくても、僕がいなくなるわけではないから、僕の体の暖かさを感じたいらしい。 だから僕は、彩に気持ちを伝えるときは、まず彩の体を抱きしめて、 「愛しているよ!」 と耳元でささやくようになった。 この現象のおかげで、僕たちはよりスキンシップを取るようになり、さらに仲良く接することができるようになったと思う。 不幸中の幸いとは、このことかもしれない。 でも、ちょっと気をつけなければならないことは、人が大勢いる場所では、できるだけ平常心で接するということだ。 以前、テーマパークに遊びに行ったとき、ベンチで寄り添って座っているときに、僕が彩に、 「好きだよ!」 と言うと、僕の体は消えてしまったようだ。 この光景を周りの人に見られて、すごく緊張した覚えがある。 こんな感じだが、僕と彩は、お互いに助け合いながら、何とか2人で楽しい時間を過ごせるようになって、僕は幸せだった。
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