1人が本棚に入れています
本棚に追加
僕と神崎さんのお付き合いが始まった。
僕は神崎さんのことを「彩」と呼び、神崎さんは僕のことを「ひろくん」と呼ぶようになった。
僕の体が消える現象は、時々起っていた。
主に、僕が彩に自分の思いを告げるときに起った。
彩と1年ほどお付き合いして僕が結婚したいと思いプロポーズをしたときも、僕の体は消えてしまったようだ。
でも、プロポーズの時の僕は緊張しすぎていて、体が消えたことには自分自身まったく気が付かなかった。
こういうとき彩は、僕に寄り添ってほしいと言ってくるようになった。
見えなくても、僕がいなくなるわけではないから、僕の体の暖かさを感じたいらしい。
だから僕は、彩に気持ちを伝えるときは、まず彩の体を抱きしめて、
「愛しているよ!」
と耳元でささやくようになった。
この現象のおかげで、僕たちはよりスキンシップを取るようになり、さらに仲良く接することができるようになったと思う。
不幸中の幸いとは、このことかもしれない。
でも、ちょっと気をつけなければならないことは、人が大勢いる場所では、できるだけ平常心で接するということだ。
以前、テーマパークに遊びに行ったとき、ベンチで寄り添って座っているときに、僕が彩に、
「好きだよ!」
と言うと、僕の体は消えてしまったようだ。
この光景を周りの人に見られて、すごく緊張した覚えがある。
こんな感じだが、僕と彩は、お互いに助け合いながら、何とか2人で楽しい時間を過ごせるようになって、僕は幸せだった。
最初のコメントを投稿しよう!