アッキーの涙

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. 学校から15分ほど歩いた所に、今日の目的地はそびえ立っていた。 中学のころからずっとお世話になっている。 いつ見ても大きくて、なんだか敵わない。 近づくたびに自分の視界を支配していく白く無機質な壁。 1度入るともう出てこれなくなるんじゃないかと不安になる。 二重に作られた入り口を通り抜けて、受付を済ませた。 青緑のソファが4列に並んでいて、そこに座っている人は疎らだ。 その1番後ろに腰を下ろす。 この瞬間が嫌だ。 マイナスな気持ちが自分を支配しだす。 大きく深呼吸して目をつむった。 名前を呼ばれたのはそれから少ししてからだったと思う。 あれだけ嫌だと言っていたのに、その硬いソファでうたた寝をしてしまった。 学校からちょっと歩いただけなのに、そんなに疲れていたのか。 体力がどんどんなくなっていくのが嫌でも分かる。 ココロの中でため息をついて、診療室の扉を開けた。 .
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