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「帰ったよ。あ、サボったんじゃなくて、今日は授業が午前中まででさ」
「香りがする……」
居間へ入った瞬間、鼻をスンスンする音と共に、誰かに思いっきり自分の匂いを嗅がれた。
「すっげ。なんか不思議な香りがする。わ、ちっちゃくて可愛い。わー目が大きいし、髪も艶々だし」
「……この人誰」
熱々のお茶を嬉しそうに飲みながら、泥棒が持ってそうな唐草模様の大きな風呂敷の隣に、年齢不詳のチャラそうな男の人が座っている。
金髪の髪を無造作に後ろへ結び、首にはタオルを巻き、上はジャージなのにズボンはジーンズ。
ピアスは一杯ついているし、一見、鼻筋も良く背も高そうでイケメンなのだが、笑顔が嘘くさい。
「この人、うちの家に駄菓子の修行に来た鳩(はと)君よ。東京の歌舞伎町でホストしてたんですって」
「ほっ!?」
「あはは、一年もしないで止めちゃったッスよう。あ、よろしゃーす」
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