一、遅刻してきた美少女と、曲がり角で。

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全く興味ないって顔されるのも何か腹が立つ。 このヘラヘラした感じが、妙に鼻につく人だ。 「比奈、お父さんはお店に寝泊まりさせてあげなさいって、OKしたのよう。おばあちゃんとおじいちゃんが男手嬉しいって言うし」 「四面楚歌ッスね」 「くっそ。馬鹿っぽい顔で四字熟語言いやがって」 「売り物や在庫については、比奈に聞いてね。私は実家の片付けに家を空けることが多くって」 つまり、ほぼこいつと二人っきりになってしまうということだ。 私が帰るまでこいつが店の売り上げとか管理するとか、知らない人に無防備すぎる。 それに人が居ないなら、学ぶこともなく修行にならないじゃん。 「私が嫌と言えば嫌なの」 「あ、また香りがした」 仁王立ちの私に、そいつは立ち上がると近づいてくる。 頭二個は大きい。つまりひょろっと180センチはあるってことだ。自分が小さいから、見下ろされるのも嫌いなのに。 「お嬢さんの後ろ、背中のリュックから香りがする。こう、今まで嗅いだことのない、豪華な香り。なんていうんだろ。ピカピカー、シャラシャランっって感じ」 「語彙力なさすぎる」 そんなんじゃ、分からない。 けど、この男は見えないはずの妖刀へ鼻を近づけて嗅いでいる。
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