70人が本棚に入れています
本棚に追加
全く興味ないって顔されるのも何か腹が立つ。
このヘラヘラした感じが、妙に鼻につく人だ。
「比奈、お父さんはお店に寝泊まりさせてあげなさいって、OKしたのよう。おばあちゃんとおじいちゃんが男手嬉しいって言うし」
「四面楚歌ッスね」
「くっそ。馬鹿っぽい顔で四字熟語言いやがって」
「売り物や在庫については、比奈に聞いてね。私は実家の片付けに家を空けることが多くって」
つまり、ほぼこいつと二人っきりになってしまうということだ。
私が帰るまでこいつが店の売り上げとか管理するとか、知らない人に無防備すぎる。
それに人が居ないなら、学ぶこともなく修行にならないじゃん。
「私が嫌と言えば嫌なの」
「あ、また香りがした」
仁王立ちの私に、そいつは立ち上がると近づいてくる。
頭二個は大きい。つまりひょろっと180センチはあるってことだ。自分が小さいから、見下ろされるのも嫌いなのに。
「お嬢さんの後ろ、背中のリュックから香りがする。こう、今まで嗅いだことのない、豪華な香り。なんていうんだろ。ピカピカー、シャラシャランっって感じ」
「語彙力なさすぎる」
そんなんじゃ、分からない。
けど、この男は見えないはずの妖刀へ鼻を近づけて嗅いでいる。
最初のコメントを投稿しよう!