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滅茶苦茶変な人だった。
せっかく女の私より長い睫毛で、芸能人みたいな顔立ちなのに、笑わないのだろうか。
宝の持ち腐れとはああいう奴のことを言うんだろう。
こんな平和な日本のド田舎に、あんな玩具の拳銃を振り回すイケメンが出るなんて。
今日も日田は平和です、姫神様。
漸く、一人で先ほどの出来事を脳内整理していたら、頭を、丸めた教科書でスッコーンと叩かれた。
「痛い!」
「ツイッターに、お前がブロック塀の上で走って学校に向かっている姿が投稿されていたぞ」
「日田の観光へ貢献した遅刻って証拠ですね」
「その減らず口を何処まで引っ張ればお前は、その容姿に似合う上品な言葉を話すんだ」
「今はギャップ萌えの時代です。そうしなければこの田舎は生き残れないんです」
「ああ言えば、こう言ってくるからな、お前は本当に」
大遅刻した私は悪びれもせずに淡々と言い放つと、それが慣れた先生は大きく溜息を吐く。
ギリギリ20代なのだから、おじさんと言うのか可哀相かもしれない。
けれど担任の梶原先生は、無精ひげに魚の死んだような眼をしたやる気のない姿からは、若若しさが感じられない。
度々、私がこんな風に原因不明の遅刻をするので、すっかり慣れてしまったようだ。
でも遅刻した理由は寝坊だけでも、イケメンのせいでもない。
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