一、遅刻してきた美少女と、曲がり角で。

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一度も解けたことのない、おじいさんの謎かけでもない。 ブロック塀の上に登って避けなければ、簡単に私は『忌み』に触れて調子が悪くなってしまうから。 本当の理由が、一番嘘くさいから言わないだけ。 「お前も可愛い顔してふてぶてしいが、もう一人、転校生も変わったやつが入ってきたぞ」 「転校生?」 厭な予感がしたけど、厭な予感をブンブン頭を振って遠ざける。 森のくまさんではなく、森のピストルイケメンなんて、そんな、きっと気のせいだ。 「ああ。来て早々に、三年と立ち回りして四対一で大健闘したが、負けたのか逃走してな。保護者に連絡したところだ」 「……さっきのあれ、逃げ出してきた処に遭遇したのかな。やだな」 呼び止められたけど、逃げ出して正解だった。 「何をブツブツ言ってるんだ」 「いいえ。それより午後からは授業受けるから行きますね」 これ以上ねちねち怒られないように、また逃げ出そうとした。
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