一、遅刻してきた美少女と、曲がり角で。

5/28
前へ
/256ページ
次へ
「残念。今週は家庭訪問で授業は午前中だけだ」 「--嘘」 そうだったっけ? それならそれで、家で二度寝したほうが良かった。 「ズル休みすれば良かったと顔に書いてあるぞ」 「そんなあ。じゃあ、今日はもう帰って良いんですね」 いそいそと鞄を持つと、先生が肩を叩いた。 嫌だ。女子高生の肩に、おじさんと呼ぶか悩むギリギリラインの先生の手が置かれた。 これは間違いなくセクハラでしかない。 「先生、セクハラです」 「遅刻の罰だ。転校生に家庭訪問のやつと家庭調査票を渡して来い」 「無理。無理無理。私、人見知り激しいし。それに顔知らないし」 「大丈夫。お前の家の駄菓子屋の二つ向こうにある写真館のお孫さんだそうだ」 「まじですか!」 家まで近いの?
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加