ただし、砂糖抜き。

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 課長に至近距離で見つめられ、鼓動が早鐘を打つ。  一日PCとにらめっこして、目が赤くなっていませんように。顔がむくんだりしていませんように。……ただの部下じゃなく一人の女の子として、私が課長の目に映りますように。  そう心の中で祈りながら、私はそっと口を開いた。 「これでもずいぶん悩んだんです。チョコレートの代わりに、課長に何を贈ったら喜んでもらえるかなって」 「え」 「義理じゃない、です……」  課長は私の告白に一瞬驚いて目を見開くと、ゆっくりとココアのカップに口をつけた。 「ああ、美味しいね。……そして、本当に甘くない」
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