唇が触れるまであと五秒

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  「そういう素直じゃないところも、可愛いんだけどね」 女を口説くような甘い声で囁いて、私の髪を優しく撫でる。 「こんな可愛いミズキちゃんを振るなんて、ほんとバカな男だよね」 私の頭を胸に抱き、耳元でそう囁く。 「女を見る目ないよ」 「……うん」 「きっとあとから後悔するよ。あの時ミズキちゃんを振らなきゃよかったって」 「……うん」 「だから、こんな失恋で落ち込んでないで、もっといい男捕まえて、ミズキちゃんを振った男を見返してやんないと」 「……うん!そうだよね!」 村瀬の言葉にどんどん元気が出てくる。 まったくそのとおりだ。 私のことを振った男に未練を持ってても、時間の無駄だ。 貴重な高校生活は三年間しかないんだし、すでにその半分は過ぎてしまっている。 さっさといい男を見つけて、新しい恋をした方がずっとずっと有意義だ!
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