唇が触れるまであと五秒

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  「ほっといて」 「振られるたびに呼び出される俺の身にもなってほしいよ」 「かわりに村瀬が振られた時は、私が慰めてあげるから」 「ほんとに?」 「まぁ、村瀬が失恋することなんて、めったにないだろうけど」 いつも周りに女の子をはべらせて、キャーキャー言われている村瀬を振るような勇者はそういないだろう。 この綺麗な顔と優しい笑顔と甘い声があれば、大抵の女は簡単にノックアウトだ。 「俺、いっつも失恋してばっかりなんだけど」 「うそだぁ」 村瀬の言葉に顔をしかめる。 こいつが失恋なんて、ありえない。
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