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人魚の一人が貪るのを止めてこちらを睨んだ。今のところ見分けられるだけの特徴も見当たらないので、この個体がリーダー格であるのかさえもよくわからない。手当たり次第に声をかけているだけだ。誰か一人でも話を聞いてくれるのならそれで十分有難かった。
「なんじゃ、その物言いは。何か報酬でも欲しいのかえ。エサの分際で図々しいぞよ」
「大したモノじゃないよ」
「ほお。言うてみよ」
「じゃあ遠慮なく。えっとね――」
拓真は僅かの間を置いて、下唇を舐めた。
欲しい物は情報に決まっている。
――派手に転んだからってタダで起きてたまるか。
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