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「済まないが、さっきも言ったように繋がりは一方的だ。お前たちを帰す方法はわからないし、方法があるとも思えない。だが急がなくても、お前たちの力が必要になる日はすぐには訪れないはずだ。新鮮な死体なら先週届いたばかりだしな」
「今後も他の死体が現れればおれらはお呼びじゃないかもね」
「そうだ。時間が許す限り、帰る方法を好きに探せ。それにお前たちの力が必要になっても、腎臓一つでしばらくはもつぞ。片方残っていれば人は生きていけると言うからな。その際は、どっちが先に捧げたいかは自分たちで決めてくれ。お前たちが心底望まないのなら、生贄の儀式も無力だからな」
「はいはーい! じゃあそうなったら腎臓はおれが神さまに捧げる」
拓真は即座に挙手した。
驚愕にサリエラートゥの黒い双眸が見開かれる。
「やけに即断するんだな。もう少し話し合ってもいいぞ? 重要なことではないか」
「ううん、決定事項だよ。だって久也は、腎臓一個しかないから」
ね、と隣の久也に同意を求める。
親友は困ったように苦笑した。
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