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拓真たちはそれぞれ「うん」「そうだな」と相槌を打つ。
「隙間はそこの泥を塗り固めて繋ぐといい。屋根は、あそこのパームの藁を抜いて編み合わせ……」
「――って、つまり自分の家を自分で建てろってことか!」
「おお! なんかわかんないけど本格的!」
話の流れ着く先を読み取った二人が大声を出した。
「ああ、頑張れ。集落の民にお前たちのことを伝えてあるから、しばらくしたら手の空いた者が手伝いに来てくれるはずだ。運が良ければ夜までにはある程度形になるだろう。とりあえずは寝泊りするだけの大きさの部屋があればいい。増やしたければまた後日建てるんだな」
「サリー、おれからしつもーん!」
「何だタクマ」
「厠はどうすればいいの? 俗に言う野糞デスカ?」
「ああ、あの向こうに共同の便所がある。自分の家の近くにも欲しかったら自由に掘っていいぞ」
「おっけー」
「便所を自力で掘るとか……サバイバル……」
拓真が快諾する横で、久也が呟いた。
共同の便所とやらにプライバシーを守れる屋根や戸がついているのか、後で確かめに行こうと拓真は思った。無いのなら、一応自分たち専用の便所を掘るのが得策かもしれない。
風呂に関する質問はまだしなかった。とりあえず自分も久也もやたらキレイ好きな人種でなくてよかった、と一人頷く。
*
新鮮なマンゴーで軽い腹ごしらえをした後、早速二人は台地の端にて家を組み立てる作業に取り組んだ。より腕力と体力に優れた拓真が石を積み上げ、久也が泥を塗って繋げると言った具合に。今の所、部屋は一つだけを予定している。
石は磨かれているとはいえ形と大きさに一切の統一性が無く、選んで組み合わせるのも一苦労である。
かれこれ一時間以上やっている気がするが、終わりがまだまだ見えない。しかも手伝いに来るはずであるボランティアたちの姿も無い。
こうなったら何も考えるな――と久也が無心に泥で石の並びを整えていると、ふいに拓真が作業を止めてパタパタとTシャツの裾をはためかせた。ありとあらゆる汗腺から汗がダダ漏れになっている点では、久也も同じだ。
「あっつっ……ねえ久也、この世界でなら上半身裸でうろついても違和感ないよね。さっきから見下ろしてる限りじゃ男たちは半数以下しか着てないよ、上」
「バカ言え。俺らの肌色じゃ、違和感アリアリだ」
「あ! それもそうか」
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