07.血と汗と埃が似合う男

5/5

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
 いつしか巫女姫はニヤニヤ笑いを浮かべていた。 「とまあ、外出するならこの三人を伴って行けば安全は保証できるぞ。紹介したのはその為だ」 「外出って、前に言ってた沼沢林とかのことか」  やっと解放された久也は髪の乱れをそっと直しながら訊いた。 「そうだ。ああ、そういえば一つ言い忘れていたな」  巫女姫は、ひとつ数えるように右手の人差指を伸ばし―― 「遠出は範囲に気を付けろ。お前たちが滝神さまの息のかかった領域を出たら、ことによっては、私が死ぬかもしれん」  そうして久しぶりに爆弾発言を投下した。  更なる説明を聞くまではリアクションするまい、と久也はため息を吐いただけに留めたが、拓真はまるでアイスクリームを地べたに落とした子供みたいに絶望に満ちた表情をしていた。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加