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取り残された気分にしびれを切らしてサリエラートゥは二人ににじり寄った。
「故郷の童話だ。俺たちとの重要な共通点は、もしかしたら物語の最後には故郷に帰れても誰も知ってる人が居なくなってるかもしれないってとこだ」
「居なくなる?」
「時間が流れ過ぎて知り合いが全員死んじゃうんだよ、サリー。こりゃ思ってたより深刻だなぁ」
「……なんていうか、済まない……」
「いいよー。もう最初に謝ったじゃん。サリー個人がおれらを召喚したんじゃないし」
明るい笑みを浮かべるタクマが、こちらの罪悪感を和らげようとしているのがよくわかる。その心遣いがかえって苦しい。
複雑になってきた彼らの状況を想って、サリエラートゥは深く頭を垂れた。
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