一章

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麻帆はまだ泣いている。だが、その表情には先程までの悲しみ一色では無くなっていた 「いやいや、お漏らしって治らないと不安になるんだよね。親にも呆れられるし。それで最終的にオムツ付けて寝ろとか親父に言われてさ、流石にあの時は親父馬鹿だな~って思ったね」 麻帆はどうやら泣き止んだらしく、クスクスと笑っている 「それで、フラれたからって簡単に諦められるのか?」 麻帆は、頭を横にふった 「そうだよな、好きって気持ちは簡単には諦めれないよな。例え相手が自分の事をどうとも思ってなくても」 麻帆は小さく頷いた 「ならさ、諦めなくていいじゃん。誰かを好きって気持ちは悪いことじゃないんだし、諦めようとしても無理なものは無理なんだし」 少し自虐的になっているかもしれないけど、きっと麻帆は気付いてないだろう 「...」 「さて、麻帆が泣き止んだところで帰るか」 立ち上がるついでに、麻帆の手を引いて立たせる 「悠馬...ありがとう」 俺は麻帆の手を握りながら帰路へとついた。 「気にするな。フラれたらまた慰めてやるからさ」 「フラれた時の事は言わないでよ。縁起が悪いから」 「ハハハ。それもそうだ、悪い」 他愛もない話をしながら坂を下る 今はこれで良い 好きな女が俺じゃない別の誰かの事が好きでも 将来好きな女の隣にいるのが例えおれじゃ無くても 今、大切な時間を少しでも共有出来たならそれでいい
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