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「失踪したと――」
「なんだって?」
長い指が裸の背中を辿るけど
触らせてなんかやるもんか。
僕はさっさと乾いたバスローブを羽織って
「夢の城を失ったショックで失踪したと」
前を固く閉じてから
腕組みして向き直る。
ようやく
部屋に明かりを灯した。
「おまえ――俺を誰だと思ってる?」
相も変わらず
狡猾な顔した王様は
「俺は天宮征司だぞ?」
よくも――。
眉をひそめてのたまった。
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