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見れば僕の手にはくっきりと
ガラスの破片を握った時に出来たのであろう傷が付いていた。
「それで、彼は?」
覚えのない暴挙に声が震える。
「なあに、大丈夫さ。傷は浅かった」
征司は案外軽く言った。
「だがもう数センチずれてたら――」
アウトだったと。
首を切るジェスチャーと一緒に告げる。
「そろそろ行く」
「え?どこへ?」
平気な顔して背を向ける征司に
僕は慌ててしがみついた。
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