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「征司……」
窓ガラスが割れたのは
風のせいなんかじゃない。
間違いなく
征司の仕業だった。
あの人が拳を叩きつけ
窓ガラスを割ったんだ。
そして――。
驚きの余り微動だに出来なかった
哀れな新聞記者の喉元を。
手近にあったガラスの破片で
迷うことなく掻っ切った。
ポトリポトリ
滴る鮮血と――。
ひたひたと
雨に濡れた黒い影。
「待って……!」
あんな薬
3つも飲むんじゃなかった。
大事な時に
意識が薄れゆく中。
去り行く後ろ姿に
僕は必死でしがみついた。
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