死体と私

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死体は私を見る。 ただ静かに、じいっと見ている。 その目は、氷のように冷たい。 焦点も合っていない。 虚ろで、空っぽの何も映さない目。 そんな目で私を見つめている。 私の身体は、そこに根を張ってしまったかのように動かない。 死体と目を合わせたくはないのに、顔を逸らせず、目も逸らすことができない。 どうしようかと悩んでいると、誰かが言った。 「死体だ」 死体を見ていた私は、いつの間にか死体になっていたのだ。
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