第1章

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春の訪れを感じさせる三月上旬。  俺は病院のベッドに横になる彼女の顔を見つめていた。  透き通るような白い肌は昔と何も変わっていない。  しかし、彼女自身は昔とどれだけ変わってしまったのか。  昔から身体の弱かった彼女。  そのせいか入院したことが今まで何度あっただろう。  だが、命の危険は無かった、なかった、はずだ。  突然の余命宣告。  彼女がまた入院し、またすぐに帰ってくると信じていた。  その時は確かにすぐ帰ってきた。  そして彼女から直接聞かされた、自分の寿命について。   今日まで彼女の親から何も聞かされなかったのは優しさか?  俺が知らないだろうと思っているのは明白だった。  その顔は悲しみで歪んでいた。  その親も今はいない。  親だけでなく、今、彼女のそばには俺しかいない。  何故、俺なのだろうか。  こんな時は、親がいてやるべきだろう、俺などではなく。  一緒に居てやってくれ、そう言われた。  貴方達だって一緒に居たいだろう。  その言葉は口にできず、喉に引っかかっていた。       
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