第1章

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 彼女は目を覚まさない。  痩せこけ、死人よりも死人らしく見える。  だが、そんな彼女が俺には誰よりも美しく見えた。  初めて会ったのは何時だっただろうか。  覚えていない、だが、六つの時には隣に居た。  写真が残っているし、そうなんだろう。  ランドセルを背負い、二人で並んで立っていた。  はにかむ写真の中の彼女は可愛かった。  俺はなぜかむすっとしていた。  点滴の音が耳に付く。  彼女はまだ目覚めない。  彼女と一緒に出掛けたこともあった。  確か、九つの時だ。  うちの親と向こうの親、それに俺らで海に行った。  あの時彼女は長袖シャツに長ズボンだった。  海にも入ろうとしなかった。  お肌に悪いから、と言っていた気がする。  何故海に来たのかが分からなかった。  窓を開けようか。  空気の入れ替えは大事だろうから。  勝手にしたら怒られるかもしれないが。  俺らは揃って同じ中学に進学した。  俺はバスケ部に入った。  彼女は何の部活もやらなかった。  理由を聞くと、自分は身体が弱いから、と返ってきた。  だからバスケ部には入れないよ、と続いた。  俺は、バスケしか選択肢が無いのか、と大笑いした。  そうだね、と彼女も笑っていた。   
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