第1章

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
ずっと待ってるから…… そんな彼女の声が聞こえた気がした俺は周りを見渡した。 もう彼女はいないはずなのに…… 彼女はとても優しい性格だった。お人好しと言っていいほどに。でも僕はそんな彼女の事が嫌いじゃなかった。誰かのために一所懸命に何かをする。そんな当たり前で難しい事を彼女は笑顔でしていた。そんな彼女を好きになるにはたいして時間はかからなかった。彼女は僕の好意に気づいていたらしい。僕と彼女が付き合うようになってすぐそのことを知った。付き合ってから半年をきっかけに彼女と同棲を始めた。付き合う頃よりもより一緒にいる時間が幸せに感じた。彼女は甘えたがりの性格からか何をするにも一緒だった。スーパーへの買い物や料理、昼寝やテレビを見るのにも離れずに一緒だった。幸せだった。 違和感に気づいたのは同棲をして2ヶ月位のことであった。最近では夜寝るにも、お風呂に入るにも一緒の時間が増えていった。最初は嬉しかったが、僕のトイレにまで付いてくるようになってからは違和感を感じ始めた。仕事で帰りが遅くなり連絡もせず帰ってくると彼女は泣きながら僕を責めた。「心配した」 「何で連絡をしなかったのか」少しお節介なところもあったが僕に非があると思い彼女を宥めた。そういった事がここ何度か増えてきて僕は彼女との空間に息詰まるようになっていた。今まで数える位にしかなかったケンカも数えるのも嫌になるくらい重ねてきた。そういった時間を半年間僕らは続けた。これ以上一緒にいれば僕は彼女に手を出すくらいにまで追い詰められていた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!