『Rainy Room』

第１章

食事を終えた彼らは談話室に戻ってきていた。会話を交わしている彼らの耳に大きくなっていく雨音が響く。雨の音に遮られるかのように彼らの口数は減っていき、そして誰も話さなくなった。

『雨は嫌いだな…』

ぽつりと誰かが言った。まるでその言葉が合図のようにみんなが窓の外に目を向ける。

『うん』

小さな声で頷いたレオにハヤトが問いかけた。

『そういや、レオはなんでこっちに来たの？』

皆がレオに視線を向ける。だが彼は黙ったまま俯いてしまった。いつもの明るい彼の表情は見る影もない。

『逃げたかったのかも…』

そう呟いたレオの口許が少し震えているように見えたのは見間違いではなかった。