8人が本棚に入れています
本棚に追加
『あ、でも…』
思い出したようにリョウタがアランに視線を向ける。
『アラン、大きな仕事決まったんだよね。リュウトの誕生日は家にいられそう?』
『え?』
唐突に聞かれたせいかアランは目を見開いた。だが口許を緩めたアランは
『年末なら大丈夫かな』
そう言って目を伏せた。
『アラン?』
リュウトが声をかけるとアランは顔を上げて笑ってみせた。
『今までになかった仕事だから、ちょっとプレッシャーなんだよ』
『へえ…何撮るの?』
ユウタに聞かれたアランは小さな声で答えた。
『風景写真…うまくいけば世界遺産とかの依頼も入るかもしれないって…』
『え!』
『すごいじゃん!』
皆が盛り上がっていく中アランは立ち上って窓の外を見つめた。
『すごいんだよな…でも俺は…』
何故か悲しげなアランの背中。その背中を見つめていたリュウトとリョウタは視線を合わせ、そしてどちらからともなく視線を逸らした。
最初のコメントを投稿しよう!