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『アンナさんがミートパイを作ってくれてるんだけど、僕の料理が食べたいなら作ってあげるよ』
『その場合ミートパイは?』
『ないに決まってるでしょ』
『えー!』
大げさに声を上げるアランは子供のようでリョウタはくすりと笑う。
『冗談だよ。アンナさんが食事の支度はしてくれてる』
『よかった』
アランは本気でホッとしたように相好を崩した。アランがソファーに腰を下ろすとリョウタは立ち上り姿を消した。少ししてリョウタはカップを手にして戻ってきた。
『はい』
言いながらカップをテーブルに置いたリョウタは自分もソファーに座るともう一つのカップに口をつけた。
『ココアか』
アランがカップを手に取るとココアの甘い香りが漂ってきた。ゆらゆらとカップを揺らし香りを楽しむアランを見つめリョウタは口許を緩めた。
『今日は寒いから…』
そう言ってリョウタは窓の外に目を向けた。
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