第1章

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『おかえり、メンディー』 『これアンナさんに頼まれた物買ってきたから』 メンディーが言うとリョウタが買い物袋を受け取り、ありがとうと言うと袋を抱えてキッチンへと姿を消す。メンディーはその間に談話室を出て行った。 『リュウトは遅くなるのかな』 ユウタが言うと戻ってきたリョウタがソファーに腰を下ろした。 『仕事ってわけじゃないみたいだから、そんなに遅くならないと思うよ。リュウトが帰ってきたら夕食にしよう』 しばらく彼らは談話室で話をして過ごす。リョウタはメンディーと共にキッチンに姿を消していた。 外が暗くなってきた頃、レオが唐突に声を上げた。 『お腹空いたー』 『リュウト、遅いね。どこに行ったのかな』 皆がリュウトの帰りを待ちわびていると扉が開いた。すると黒髪の男が雨に濡れたコートの袖を払いながら部屋の中に入って来た。 『お帰り、リュウト』 『雨降ってきたの?』 リュウトはそれに答えず、ちらりと視線を向けておどけた表情を作った。 『風邪ひかないようにね』 リョウタがタオルをリュウトに渡す。
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