第1章 相棒

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<はあっ!?> 出し抜けな誘いに面食らった。 《‥自覚ナシ‥かぁ…フフン‥アタシの勘、 案外向いてると思うンだよね~☆ アンタって、男好きするタイプじゃん♪ …ココ最近増えてンのよ…バイのお客… ‥‥‥例えば‥‥‥‥‥‥‥‥ホラ‥》 耳打ちしながら彩花が目線を送る先には、 レスラー級の屈強なガタイで豪快にビールを呷る黒人アーミー。 こちらを見るなり、ニヤリと笑った。 <!?…ア‥ハハッ‥お‥おやすみっ!!> 冗談じゃない… 俺は裏口から逃げるように店を出た。 ・・・・・・はぁ‥・・・ 金無し‥運無し‥‥とりえなし その上女も抱けねぇ能無しとくりゃぁ 残る手立ては、 アナを売るしかねぇって‥か・・・・? 通い慣れてるはずのアパートまで‥道のりがやけに遠かった。 人気のない裏通りを肩を落としとぼとぼと歩く。 最低最悪の気分‥‥‥。 「…………………」 「…・…・……」 ふと‥人の気配がして、顔を上げた。 自動販売機の灯りに照らされた辺りの更に先、 人影がスッと暗い路地に吸い込まれるように消えた。 どうせ浮浪者か酔っ払いに違いない。 絡まれては面倒だ… と、警戒しながら路地に差し掛かる… 「ァ…ァフ‥フッ…ンッ‥‥ヒッ!」 「シッ!静かに‥‥っ!…ハァ‥ハァ‥‥」 (‥‥あ~ぁ… こんなトコでアオ姦かよぉ…ッタク‥ ‥‥‥勘弁してくれョ‥) 矢庭に、 ☆☆☆素っ裸☆☆!!!? が・・・ガキィィィッ?!??!! 「ヤぁぁぁっ!!! ヤダッヤダッイヤァァ‥エッ‥エッ‥‥こ‥コワい、コワいぃ!えぇ…ンエグッ‥!!」 マッパのガキがオレに携って泣き喚く… <エ‥な、ナニ‥コレ…> 思わず路地裏へ目を凝らしたものの、 既に足音は暗がりの奥へ…。 …路上には、コイツが身に付けるべき衣服が放置されていた。 <…ホラ‥お前ンだろ?> 拾い集めて差し出した衣類を受け取ろうともせず、ソイツはただ俺の腰にしがみついたままグズグズ泣きじゃくるばかり…。 (なんか‥コレじゃあ、オレがナンかヤラかしたみてェじゃね!?) 焦った俺は自販機の灯りを頼りに手早くガキに服を着せてやった。 中坊…12‥3才くらいか…? ‥‥貧相な躰つき…。 <ほい‥コッチ、手を通して‥‥> …スベスベだ‥ 髪‥‥柔らかい‥‥ ‥‥おッと☆ け‥怪我‥‥‥は‥‥‥‥‥ナシっ! ナシナシ!ヨカッタ~‥‥‥ …頼りない首に華奢な背中‥ 浮き出た背骨と肩甲骨から伸びるか細い腕… 冷たく冷えきった指先‥ 掌におさまる小さな顔 柔らかな頬 赤くふくよかに濡れた唇‥ ツンと生意気そうに通った鼻筋 そして…ゆらゆらと揺れる大きな瞳‥ 湯煙にのぼせうつつを抜かすかのように、 フワフワ宙を漂う心地好さを感じながら、 オレは暫しうっとりと見惚れていた…。 なんて綺麗なんだ・・・・・・。
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