第1章 相棒

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人を『綺麗』と感じたのなんて、初めてだったかもしれない。 まるで光の集合体…こんな不思議な生き物がこの世にいるもんなんだな・・・ 音の無い花火のように、暗闇に散ってしまいそうで…ビビる‥‥ <‥さっきのヤツ‥知り合い?> そう声をかけると、またクシャクシャに顔を歪めた。 〈ぱんつ‥ね‥なか‥‥‥み‥みせ、じゅす‥‥かってあげる…‥‥〉 <・・・・へ‥?‥> 〈‥みせた‥‥ボク‥‥‥‥そ‥てね… ‥‥‥ウゥゥ…ヒック‥ココ‥…ヒクッ‥あば‥あばでたらォ‥シッコ‥でっ…でなくす‥って‥‥‥ ウッ‥ウッ‥‥ウエェェェェェェェェ…ン…〉 (‥アイタタタ…) マジのヤツ‥変態野郎だ… が、今更ナニを悔やんでも仕方無い。 <泣くな泣くな、 ちゃんとくっついてっから…> 〈‥‥‥ンッ…ンッ‥ェグ‥〉 <なぁ!ナ、おまえってハーフなの? 外人っぽいよな! 親、アメリカ人かイギリス?イタリア!? それともフランス… おっ、ロシアのハーフだろ!なっ?> 〈?は…ふ‥?〉 咄嗟に話をはぐらかすオレ。いいカンジで気が逸れたみたい‥‥ホッ‥ <おまえサ、この辺のガキじゃないべ? ‥どっから来たのよ?> 〈…のげ〉 <のげ‥野毛山? ‥歩けない距離でもないか…ひとりで?> 〈のげやまどうぶつえんにはたくたんのおともだちがいますでっさーぱんだふらみんごおばあのだくだすまとらとらとちりんのおやことあと‥あしがさんぼんのくろひょう‥‥〉 <・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・おま‥ちょ‥ちょい待て‥‥‥ ・・・・・・待てっつってンだろっ!!!!> 〈‥‥ふぇ‥〉 <‥‥‥‥ぁ‥やべ‥泣く… …そっか‥‥‥ハハ‥ハ‥あー‥‥ソカソカ……… ‥‥‥‥‥‥‥‥‥おまえって‥‥‥‥‥‥‥ ‥ぁ‥・・・・・・・・・・ ・・・・・‥ェ‥と‥‥・・・・・・ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥…ナニ飲む?> 〈 ? 〉 <ジュース、 飲みたかったんだろ?どれにすんの?> 〈 ♪ 〉 俺はポケットからなけなしのコインを取り出し、自販機のボタンを押した。 ガコンッ‥ <ホレ☆リンゴのジュース!> 〈あー♪〉 たった今ベソかいてたクセに、 ソッコーご機嫌だぜ☆ ピョンピョン飛び上がってメッチャ喜んでやがる(笑っ) <お!ソーだ♪‥‥‥‥‥‥食うか?> 彩花が包んでくれたバゲットをちぎって渡すと、貪るように食らいついた。 ははは…必死だな(笑) <慌てんな、ゆっくり食え> 餌を頬張っては、 俺を見上げてニコニコ笑った。 …まったく‥ くっそ☆カワイイじゃん☆☆☆☆☆ マジ♪超可愛いっ! なんて無邪気に笑うんだ‥‥ 曇りのない満面の笑み…。 ただモノを食ってるだけなのに、 飯がゴクンと喉を通るたび身体中の薄い皮膚が畝って、なんか色っぽい。 ・・・・・イロっぽい? ありえねぇだろ、 だってコイツ、ガキだし…チ♂コだぜ? …なんか‥オレ‥ なんか、なンか!もォォーーーーーーっ!!! チョーやべぇって!オレ、マジでっ!! ナニ? なんなンだ?!‥この胸の奥から込み上げる “圧”というか“熱”‥‥‥? ‥ヤベー‥ オレ‥スゲーヤベー… そう‥ あれは…、 いつか遠足で訪れた、森の公園の掲示板… 破れかけた一枚のポスター。 美術館の展覧会告知に添えられた、 宗教絵画の天使…。 拓は言った。 『‥‥エッチぃよなぁ、コレ‥‥ なんかさぁ‥ チュウしたくなンね?この絵…』 <俺“まお”っての。上田真生、お前は?> 〈おで、まお、おまえわ?〉 <ちげぇよ(笑) おまえの名前だ。な・ま・え! あンだろ?名前。 カツオくんとか、ワカメちゃんとか…> 〈‥‥‥‥‥‥‥みぉ‥‥) “みお”はハーフパンツのポケットから赤いストラップのパスケースを取り出した。 <“みお”?‥‥川島‥澪…フゥゥ‥ン‥ なんか名前似てんなァ☆俺達の名前! “まお”と“みお”か♪アハハハ!> 〈まおとみお♪ゥフ‥ウフフフ まおとみお‥まあぉとぉみいぉぉまぁ‥〉 <ハイハイハイ、ストップストーップ! …気に入ったらリピートかよ(笑)>
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