第1章 相棒

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始めは舌足らずの只のイタイガキだと思っていたが、パスケースの中を開いて納得した。 『…川県三浦市私立特別支援学校聖マリアンナ‥‥』 ・・・(- -;) 高等部一年‥ ‥‥つーことは‥‥15‥16ぅぅぅ!?!! しかも三浦!野毛とは方向逆じゃん?! ‥‥なんでこんなとこに居んの?コイツ‥‥。 所持品は学生証と鉄道ICカードのみ。 ま、コレがありゃあ、なんとかなるか…。 しかし、参ったナ。 電車なんか、とっくに終わってるし、このまま置き去りってわけにも…。 サツに渡す‥!? ‥‥イヤ‥“おまわり”のツラなんかあんま見たくねぇ…。 明日にしよう☆! 明るくなりゃひとりで帰れンじゃん? 早朝に駅前にでも連れてって‥‥ …て、とっくに捜索願いとか出てたらマズいよな‥‥。 俺がアレコレ思い巡らしていると、 〈‥‥ねぇ‥あのね…〉 澪が俺の袖を引っぱる。 <…ゥン‥ なぁ澪、取り敢えず今夜は俺んち泊ま・・・っっっ!!!! おま‥なっナニやってンだっ!?> 俺がついさっき着せたばかりだってのに、 澪はまたせっせとシャツを脱ぎハーフパンツを下ろし始めた! 俺は慌てて澪のパンツを引き上げた。 〈‥?‥みないの?〉 <見ない!!!> 〈‥‥みおね‥りんごのじゅーすのんだ‥〉 <だから?‥なんでっ?!> ‥‥澪は、返礼のつもりだったんだ。 俺に気ィ使って、それで…。 <‥ってか‥お前、マジバカじゃん!> 〈‥…ちやうよ‥ボクは…グスッ‥‥ だめよ…まお‥‥ばか…ていってわ…ダメ‥なの‥〉 <あ~っ!!モォッ!また泣く‥ ハイハイ!!悪かった!俺が悪かったっ!!! ‥ンダョ‥俺まで変態扱いしやがって… ‥‥‥で‥ドースル? ‥‥ウチ‥‥‥‥来る?> 〈‥‥‥〉 <あ・ソ…わかった、じゃあなっ!> 俺は澪に無理強いせず立ち上がった。 案の定、澪は慌てて俺の後を追って来た。 ジュースを抱き締めて必死だ。 暫く歩き俺が立ち止まると、少し後ろで澪も立ち止まった。 …可愛い‥(笑) 少し歩みを速めた途端、澪が躓いた。 〈‥‥ま‥ぉ‥‥‥グスッ…〉 <あ~あ‥‥また… 泣くなっ!立てっ!> 澪はゆっくりと立ち上がった。 が、手にしたジュースが溢れてしまったようで、またグズグズとベソをかきはじめた。 <置いてくゾ!!> 〈‥‥ま…って‥〉 涙を必死に堪え、澪は俺の後を追った。 俺は再び立ち止まった。 やはり後ろで澪も同じように立ち止まり、 すこし、また少し‥と遠慮がちに俺に近づいた。 やがてもじもじと照れくさそうに俺のシャツの裾をソっと掴んだ。 目と目が合い、澪はにっこり笑った。 その愛らしさときたら! 堪らなかった‥。 俺はその瞬間、 俺の全身を熱い血液がどう!と巡るのを感じた。
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