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始めは舌足らずの只のイタイガキだと思っていたが、パスケースの中を開いて納得した。
『…川県三浦市私立特別支援学校聖マリアンナ‥‥』
・・・(- -;)
高等部一年‥
‥‥つーことは‥‥15‥16ぅぅぅ!?!!
しかも三浦!野毛とは方向逆じゃん?!
‥‥なんでこんなとこに居んの?コイツ‥‥。
所持品は学生証と鉄道ICカードのみ。
ま、コレがありゃあ、なんとかなるか…。
しかし、参ったナ。
電車なんか、とっくに終わってるし、このまま置き去りってわけにも…。
サツに渡す‥!?
‥‥イヤ‥“おまわり”のツラなんかあんま見たくねぇ…。
明日にしよう☆!
明るくなりゃひとりで帰れンじゃん?
早朝に駅前にでも連れてって‥‥
…て、とっくに捜索願いとか出てたらマズいよな‥‥。
俺がアレコレ思い巡らしていると、
〈‥‥ねぇ‥あのね…〉
澪が俺の袖を引っぱる。
<…ゥン‥
なぁ澪、取り敢えず今夜は俺んち泊ま・・・っっっ!!!!
おま‥なっナニやってンだっ!?>
俺がついさっき着せたばかりだってのに、
澪はまたせっせとシャツを脱ぎハーフパンツを下ろし始めた!
俺は慌てて澪のパンツを引き上げた。
〈‥?‥みないの?〉
<見ない!!!>
〈‥‥みおね‥りんごのじゅーすのんだ‥〉
<だから?‥なんでっ?!>
‥‥澪は、返礼のつもりだったんだ。
俺に気ィ使って、それで…。
<‥ってか‥お前、マジバカじゃん!>
〈‥…ちやうよ‥ボクは…グスッ‥‥
だめよ…まお‥‥ばか…ていってわ…ダメ‥なの‥〉
<あ~っ!!モォッ!また泣く‥
ハイハイ!!悪かった!俺が悪かったっ!!!
‥ンダョ‥俺まで変態扱いしやがって…
‥‥‥で‥ドースル?
‥‥ウチ‥‥‥‥来る?>
〈‥‥‥〉
<あ・ソ…わかった、じゃあなっ!>
俺は澪に無理強いせず立ち上がった。
案の定、澪は慌てて俺の後を追って来た。
ジュースを抱き締めて必死だ。
暫く歩き俺が立ち止まると、少し後ろで澪も立ち止まった。
…可愛い‥(笑)
少し歩みを速めた途端、澪が躓いた。
〈‥‥ま‥ぉ‥‥‥グスッ…〉
<あ~あ‥‥また…
泣くなっ!立てっ!>
澪はゆっくりと立ち上がった。
が、手にしたジュースが溢れてしまったようで、またグズグズとベソをかきはじめた。
<置いてくゾ!!>
〈‥‥ま…って‥〉
涙を必死に堪え、澪は俺の後を追った。
俺は再び立ち止まった。
やはり後ろで澪も同じように立ち止まり、
すこし、また少し‥と遠慮がちに俺に近づいた。
やがてもじもじと照れくさそうに俺のシャツの裾をソっと掴んだ。
目と目が合い、澪はにっこり笑った。
その愛らしさときたら!
堪らなかった‥。
俺はその瞬間、
俺の全身を熱い血液がどう!と巡るのを感じた。
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