第1章 相棒

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放っては行けない!!! 俺は直ぐ様、澪に向かって叫んだ。 <何やってンだ!澪っ! 一緒に行くんだろ!!? おいで!ほらっ、俺ンとこまで来いっ!!> 頑なだった澪の両腕がゆっくり解けた。 澪の手から空の缶が放れ、カラカラと高い音を響かせて転がった。 そして澪の身体は冷たいアスファルトに崩れ落ちた。 <澪ぉっ!!!> ただ‥ただ‥自分の愚かさを悔やむしかなかった。 <澪‥澪‥目を開けてくれ! ゴメン‥ごめんな‥‥意気地がなくて‥ オレ、なんかホント‥しょーもない男で… だから悪いのはオレなんだ…赦してくれ‥ 頼むから‥‥澪…!> 澪の唇がピクリと動いた。 <み‥みおっ、澪!! あ‥ぁ…気がついた‥‥ ごめんよ‥‥澪…ホントに‥すまない‥‥> 〈…まぉ‥いっちゃぅ‥> <‥行かない‥ほら、此処に‥居るから…> 澪はため息のような深呼吸をひとつついて、 にっこり微笑んだ。 <…よ、よかったァァ‥‥ はぁぁぁ‥ ほんと、超テンパったぁ~……ハハ‥ハ‥> 〈‥も‥‥つでてってくだたい…みぉも‥‥ ‥‥‥‥ね… みおもいっしょ?…ね?おねがい‥‥ つでてって‥おねが‥い‥〉 <バッ‥‥…もぉ‥‥‥‥ ッタリメェだろ!? 置いてくかよ‥ほんとにもぉぉお‥‥> 〈みお…ね‥なおすかだ‥‥ ばかのびょうき、なおす‥かだ‥‥ ね…だかだ、つでてって‥くだたい…〉 <おぅ、一緒に行くんだゾ‥ もう泣かなくていい… 今から俺んちに、わかるよな? 澪はバカじゃねンだもんな?> あぁぁン‥ァン‥アァァン‥ 安心したのか、澪は俺の胸に顔を埋めて、 赤ん坊のように泣いた。 澪の体温が久しく忘れかけていた懐かしいものを思い出させる。 なんだかこのままずっとこうしていたかった。 だが、次第に夜露を肌に感じ始め、澪の体調が気に掛かる。 俺自身も早いこと身体を休めたかった。 俺は澪を背負った。 <しっかりつかまってろよ> 〈‥はぃ…〉 こんな細っちい身体、路上で夜を明かすなんてとても無理だ。 <さ☆ほんじゃ帰るとするか!> 〈‥‥まぉの‥おうち‥〉 <ああ☆ 狭いし、とっ散らかってるし…ちょっとメンドーな奴いるけど、 野宿するよりゃマシだろ?> 〈‥‥‥♪〉 俺の背中を抱く澪の体にきゅっと力がら入るのがわかった。 <緊張する?ハハハ‥ヘーキヘーキ☆ 着いたら先ず風呂入ンねぇとなァー♪ お前の涙と鼻水でベットベトだぁ(笑)> 〈‥すち…まお‥だいすち…だいすち‥まお‥だいすち‥〉 何かの呪文か? 鼻歌? 澪は俺の背中で繰り返し呟いていた。
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