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「…みんなタイムカプセルに何埋めるか決めた?」
担任の女が、教室で騒ぐ児童の前で口を開く。
「先生!タイムカプセルには何でも入れていいんですか!?」
鼻を垂らした児童が、元気良く手を挙げ尋ねた。
「タイムカプセルにはね、思い出の品とか、大事な宝物を入れるんだよ」
「分かりました!」
児童達は、笑顔で返事をした。
「タイムカプセルは十年後にみんなで掘り返そうね」
たかしは教室の片隅で俯きながらその会話を聞いていた。
「…大事な物大事な物」
学校が終わり、家に向かう道中、たかしは俯きぶつぶつと呟き続ける。
「たかし!優奈が交通事故に会って病院に運ばれたから病院行くよ!」
家の玄関を開けたたかしに、祖母の靖代は涙を浮かべ叫んだ。
そしてたかしは祖母に連れられ病院へと向かった。
病院に着いたたかしの目に、顔に布を掛けられた妹の優奈の姿が写る。
「…優奈死んじゃったの?」
たかしは優奈の亡骸にすがりつく母親の夏子に問い掛けた。
「…た、たかし」
夏子は答えず、たかしを力強く抱き締める。
それから三日後、優奈の葬式が開かれた。
火葬場で焼かれた優奈の亡骸を見詰めるたかしは、その亡骸の一部を掴むと、大事そうにポケットにしまった。
「…十年後に会おうね」
葬式が終わり、公園の茂みの中でたかしは一人呟いた。
優奈の骨を入れた、ビスケットの空き缶を土に埋めるたかしは、産まれて初めて涙を流した。
終わり
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