*:。 魚籠の水魚 ・゚:*:・'°☆

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僕は祖父とのお出掛けが、いつも苦痛だった。 行ったところで、僕は何も楽しくはないし、祖父たちの髪につけている油みたいなのがてらてらと光って、それがまるで蛇の鱗ように見えて嫌だった。 それに、油の独特の臭い…… なんであれを好んでつけるのかわからなかった。 仕方無いからなるべく息を止めて、ただ黙ってることにしたんだ。 そうしてると、案外時間なんてすぐに過ぎているから、いつしか無意識に何も考えないようにしていた。 今から思えば先生と出会った頃は、たぶんそんな何も考えてない頃だ。 何を聞かれても、何をもらっても反応がほとんどない頃で、毎度ただ終始ほとんど無言のまま、行って帰るだけだった。 誰かに何かを聞かれれば、僕は促されぼんやりしながら祖父の手前答えはする…… 聞かれること以外、僕から話すことなんて何もなかった。
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