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「優依。本類、本棚に適当に並べとくから後で自分のいいように並べ替えなよ」
「あ、ありがとうございます!」
日も落ちかけた頃に届いた荷物を部屋に運び込んでいると、いつの間にか春香が玄関に積まれた箱の整理を手伝ってくれていた。
悪いから、と言う優依からダンボールを奪い、片手で軽々と持ち上げた春香は空いた手を優依の頭に乗せた。
「いつまでも玄関に荷物の山を置いておかれる方が迷惑。こういうのはみんなでちゃっちゃと片付ける」
「はい……姉御!」
そんな訳で今に至る。
「ねーねー春香ー何で俺らまで手伝わされてんのー?」
「うっさい、男ならごちゃごちゃ言わず働く」
「俺7時からネトゲ友達と狩り行きたいんだけどー」
「優依の引越しが終わるまでゲーム禁止」
「はーるかー!」
先ほどからじたばたと手足をばたつかせる千秋はダンボールから引っ張り出した雑誌を広げている。
断じて手伝ってなどいないし寧ろ邪魔をしている気もするが、春香は気にする様子もなく手元の仕事を片付ける。
「李木、テレビとネットの配線は済ませておいたぞ。接続とチャンネル設定は自分で出来るな?」
「はい!ありがとうございますっ」
デキる2人によって、引越しは想像以上に早く済んだ。
それにしても、家具の運び込みがないのはとても助かる。
途中で海斗は夕食の準備のために抜けたが、気の利く彼が配線の傍ら、ほとんどの荷物を整理しておいてくれたため、夕食には十分間に合った。
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