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「ほぼ、即死だったらしい。俺はその場で動けなくなって、近くで見てた人が病院に送ってくれるまであんまり記憶がないからよく知らないけど」
無表情で話す真叶は再び幹に手を添え、小さく呼吸を繰り返す。
そうすることで落ち着きを取り戻しているように見えた。
「それから、母さんはショックで毎日泣いてて……もうハワイにはいられないって、日本に戻った。
ハワイにあるものみんな、母さんの目には悲しい思い出としてしか映らなくなっちゃったんだ。
だけど結局立ち直れなくて、今も病院に入院してる」
淡く笑みを浮かべた真叶は、肩からかけていたショルダーバッグを軽くぽん、と叩いた。
「馬鹿だよなぁ、俺。映画監督になりたいなんて言わなければ親父は死ななかったかもしれないのに……
まだ、監督の夢を諦められないでいる」
「諦める必要なんかねぇよ!」
口を挟まずにはいられず、健は叫んでいた。
驚く真叶を睨みつけるように、胸にある思いを向ける。
「親父さんが応援するって言ってくれた夢なんだろ?父親が命張ってそれを伝えに来てくれたんなら、今度は息子が胸張って応える番だ。真叶は絶対監督にならなきゃ駄目だ!」
無理に声を出したせいで、喉に引き攣るような痛みを感じる。
それでも、伝えたかった。
夢の話をしている時の彼はとても輝いていて、どれだけ真剣かなんて一瞬で解ってしまう。
声も出せずに立ち止まっていた真叶は、ふ、と息を吐いて笑った。
「やっぱり健は、母さんに似てるね」
ゆっくりと持ち上げた彼の手が、前髪に絡まった。
そのまま後ろへ流すように梳き、そっと離れる。
支えを失った髪がぱさ、と落ちて元の場所に戻った。
「健の強さに、少し甘えていい?」
「え……?」
真叶はまっすぐに健を見つめた。
その目にもう揺らぎは見えなかった。
「どこまで出来るか分からないけど、出来るところまでやってみたい。
健。俺の映画に出演して」
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