神さまあんまりだ

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「失礼します……っわ!?」 放送室の扉をノックし、中を覗いた瞬間。 黒い影が優依に覆いかぶさってきた。 その黒い物体はふるふると震えながら優依にしがみつく。 条件反射で背中に手を回して抱きしめてしまった優依は、その体格と匂いに既視感を覚えた。 「拓海さん……?」 「死ぬかと思った、いや死んだ、俺の魂が削られた、寿命縮んだ、人がいっぱい、いっぱい人……!」 「ちょっ、と……拓海さん落ち着いて」 なんとか身体を引き剥がし、顔を確認する。 やっぱり拓海だ。 と、背後から放送委員と思われる女性が姿を見せた。 「よかった、来てくれて。その人、廊下でフードを被ってうずくまっていたの。具合が悪いのかと思って医務室に連れて行こうと声をかけたら、突然あなたを呼べって、繰り返し言われたから何か緊急なのかと思って」 “李木優依だ。李木優依を呼べ。いるだろこの大学に。イラスト学科1年の李木優依だよ。てめぇもここの学生なら新入生の顔と名前くらい全部覚えとけ” 彼がそう言って鬼の形相で彼女に迫る姿がありありと想像出来る。 テンパると口が悪くなるのが拓海の悪い癖だ。 「ご迷惑をお掛けしました。ただの迷子です。ただのバカです。ご心配なく」 優依は放送委員の彼女に深々と頭を下げた。 彼女はどこまで察してくれたのか、大変ですねと笑って許してくれた。
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