神さまあんまりだ

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「っ、なにしてるんですかっ!」 「……キス」 「っなんで」 「何で?てめぇそれ聞くかよ。逆になんでキスしちゃいけねぇんだ」 顔が熱い。 触ったら火傷をしてしまうんじゃないかと思うほどに、顔も、耳も、心臓も。 優依とはうってかわって、拓海は平然としている。 それどころか、先程空けた距離をゆっくりと詰めてきていた。 「ここ、学校ですよ」 「誰も見てねぇんだからいいだろ」 「でも、」 「優依」 気づいたら、 彼は優依の唇に触れそうなぎりぎりの位置で動きを止め、視線だけはまっすぐに彼女を見ていた。 吐息が唇にかかる。 それだけで、心臓が爆発してしまいそうだ。 「悪ぃけど、俺はてめぇみてぇに純粋な気持ちでてめぇを好きにはなってねぇんだよ。 好きだから傍にいてぇし、触れてぇし、キスだってしてぇんだ」 拓海の手が言葉に合わせて脇腹をなぞる。 鼓動の音がうるさくて、拓海が何を言っているのかもだんだんわからなくなってきた。 視線を逸らそうとすると、痛いくらいの力で顎を掴まれ、再び視線が合わさる。 「逃げんな。 俺はてめぇの男でてめぇは俺の女なんだから、 大人しくキスされてろ」 その言葉を最後に、優依は息もできないほどの甘い香りに襲われた。 出来事はほんの一瞬だったが、その一瞬さえ長く感じる。 思わず強く瞑った目を開けると、先程とは正反対の優しい笑みを携えた恋人が、飼い犬にするように頭を撫でた。 「お前、キスする時の顔ぶっさいくな」 「なっ……拓海さんと違って、私は無経験なんですから当たり前でしょ!!」 照れ隠しに放った言葉だったが、彼の笑みがイタズラっぽく歪んだのを見て、言葉のチョイスを間違えたことに気づいた。 「じゃあ、キス慣れるまで特訓な。経験者が丁寧に教えてやるよ」 「結構です!余計なお世話です!」 「はいはい。受講料はタダでいいから」 「話を聞いて!」
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